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2009年5月24日 (日)

『重力ピエロ』の試写会へ行く

 先日、『重力ピエロ』の試写会へ行った。今年、2度目の試写会参加である。そして、その日は裁判員制度がスタートした日でもあった。

 試写会に行く前に、『重力ピエロ』の原作を読むどころか、映画の内容さえ調べず、何の気なしに軽い気持ちで見に行ったが、きれいな映像とは裏腹に、予想外にハードな内容の作品で衝撃を受けて帰って来た。

 この作品の原作者である伊坂幸太郎は、最近売れてる作家というのは知っていたが、この人の小説は一冊も読んだことがないし、これまで映像化された作品も見たことがなかった。しかし、今回、この作品を見て、伊坂幸太郎作品が売れている理由が垣間見れた気がした。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

 仙台市内で多発する放火事件。この放火事件現場の近くにメッセージが秘められた落書きらしきものが残されていた。放火と落書きの関連性に気づいた遺伝子を研究する大学院生の兄・泉水(加瀬亮)と、放火現場近くに残された落書きを消す作業をする芸術家肌の弟・春(岡田将生)。この兄弟が協力し合い、放火犯を見つけ出そうとする。

 この兄弟の家庭は、母親(鈴木京香)に先立たれているけれど、仙台市の郊外で父親(小日向文世)と共に平穏に暮らす父子家庭世帯である。しかし、母親は30数件にも及ぶレイプ事件を引き起こした高校生に犯され、弟はその際に孕んで出来た子供であるという暗い過去を抱えている。

 泉水は、自分の目の前で母親をレイプした犯人が短い刑期を終えて出所し、仙台市内に舞い戻って来ている事を知る。そして、母親の敵を討つべく、復讐する事を思い立つ・・・。

 現在、起きている連続放火事件と、24年前に起きた連続レイプ事件。一見、関連が無さそうに見えた2つの事件が、DNAの二重らせん構造のように徐々に寄り添い絡み付いて行く。

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 作品の前半部分を見た段階で、兄弟二人が協力し合って、放火魔を捕まえて一丁あがりというストーリーを想定してたが、それは浅はかな考えであった。もっと、重厚な内容であった。

 第一、何本も張られた伏線の張り方のうまさに感心した。

 春のストーカーである夏子さん(吉高由里子)のエピソードなんて、必要があるのか?と思っていたら、ストーリーを急展開させる重要な役割を担っていたり、大学で行われた人の性格や才能は遺伝的要因によるものか、環境要因によるものかという講義の後、レイプ魔のDNAを継いでいる春の性格・趣味・嗜好・才能が、遺伝で形成されているのか、それとも、育った環境によるもなのかというエピソードが続くのはうまいと思った。

 春が無抵抗主義者であるマハトマ・ガンジーを敬愛しているのは、無抵抗主義の実践者ともいえる、春と血が繋がっていない筈の父親の影響を受けている事を匂わせ、一方で、春に備わる芸術の才能や、家族にも隠している狂気な一面を持ち合わせている点は遺伝的要因の影響を感じさせている。

 ストーリーに登場するエピソードに無駄がなく、一つ一つのエピソードが、後々、登場する何らかの出来事と関連していく。だんだん見ていくうちに、パズルを解いてくような感覚を憶え、話の骨組みが緻密に計算しつくされているのが明らかになっていく。

 そして、そのしっかりと組まれた骨組みに、妻をレイプ魔に犯された夫の苦悩や、未成年性犯罪者の軽すぎる量刑、病魔に立ち向う姿勢、オイディプス症候群、蜜蜂の生態に準えた家族の結束の強さなどが肉付けされている。

 原作者のストーリー作りのうまさが、この作品からも伝わってきた。映像化作品でも十分、心を揺さぶられたのだから、原作本を読んだら、もっと心を揺さぶられるのではないだろうかとも思う。

 でも、摩訶不思議なタイトルである『重力ピエロ』の意味を種明かしするシーンが最後の方にあったけれど、自分の頭ではあまりうまく理解できず、いまいち、そこがよくわからなかった。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

 ラストシーンは春が家の2階から飛び降りて、泉水の「春が落ちてきた」という冒頭シーンと同じセリフのナレーションで終わる。そして、この家族が、その後どうなっていくのかわからない、ぼやっとした感じで幕を閉じる。

 自分勝手な憶測であるが、おそらく、「春が落ちた」の「落ちた」とは、警察用語で言う「犯行を自供し、認める」事を意味する「カンオチ」の「落ちた」を指しているのではないかと思った。

 つまりは、兄弟で一緒に蜂蜜作りを終えた後、春は警察に出向いて、自首したことをほのめかしているのではないかと思う。正義感が強い春の性格設定を考えると、当然そうするであろう。 

 そこで、春が被告で、自分がその裁判の裁判員であった場合、自分ならどう対処するであろうかと考えてみた。もちろん、春がやってきたことを考えたら、当然、迷うことなく有罪にするだろうけれど、量刑をどれほどの重さにするかについては判断に迷うところである。

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